夫は妻のために五年間、牛馬のように尽くしてきた。その代わりに返ってきたのは「あなたには甲斐性がない」の一言だけ。離婚の日、彼は鏡の裏から黄ばんだ赤い紙を取り出すと、妻の目の前で燃やした。「お前の運命は、お前自身のものだ」。その夜、妻の家の廊下に濡れた足跡が一列増えていた。そして夫は五年間ほこりをかぶっていた大きな扉を押し開ける。「秦記旧物、注文受付開始」。その日から、浜海の豪邸、銀行、カジノ、ホテルで次々と事故が起き始める。